IOTAを基礎技術として採用されているBiiLabsのIDシステムが、台北市のスマートシティ化を推し進める。
BiiLabが開発するデジタルアイデンティティシステムはIOTAを基礎に構築されており、台北市デジタル市民カードと、デロイトが開発するブロックチェーンアプリケーションに採用されます。今回、publicIOTAはこのホットな話題を取り上げ、台湾ブロックチェーンスタートアップBiiLabsの、共同設立者兼CEOであるLman Chuにインタビューを行いました。
—
IOTA財団は2018年1月30日、スマートシティ化を進めるための第一歩として台北市との提携を発表しました。このスマートシティ化に際し、台湾の首都である台北はIOTA財団、BiiLabsと協働で、TangleIDと呼ばれる技術を用いたデジタル市民カードを開発し、スマートシティアプリケーションに分散型台帳技術を組み込みます。
そして2018年10月15日に、このパートナーシップによって、BiiLabsがオープンソースのGDPR準拠アイデンティティシステムを発表しました。以下、同社プレスリリースより引用「ブロックチェーンスタートアップのBiiLabs(Blockchain Industry and Innovation Laboratories 略)はIoEの時代の到来を見据え、分散型台帳技術を用いてビジネスの変革に着手してきました。そして今日、分散型デジタルアセット管理における企業向けサービス”TangleID”を正式に発表いたします。このTangleIDシステムはブロックチェーン技術を基礎としており、ユーザー自身によるデジタルアイデンティティの管理が可能になります。 このシステムは既に、台北市が取り組むデジタル市民カードプロジェクトに採用されています。TangleIDの詳細は以下のURL( https://tangleid.github.io)からアクセス出来ます。
BiiLabsのCEO兼Co-founderであるLman Chu氏は、『私たちはIOTAをベースに、デジタルアイデンティティや認証技術を確立するためのインフラとなるシステムを開発してきました。ユーザーはこのTangleIDシステムにアクセスして、モバイルアプリやWebサイトのデジタルアイデンティティ管理システムを構築することができます。』と述べています。
また、TangleIDのオープンソース実装による導入企業側のメリットについて、Lman Chu氏は以下の二点を挙げています。『第一に、導入企業は、多様なブロックチェーン技術の最新動向を追う必要が無くなる点です。BiiLabsによってAPIとWebサイトサービスが提供されるので、数多くのブロックチェーン技術を追う事なく、GDPRコンプライアンスに沿って新たなサービスを展開することができます。第二に、根本にある実装のためのメカニズムを追わなくても、企業がブロックチェーン技術を導入できる点です。TangleIDはデジタルアイデンティティやデジタルアセットを管理するための処理システムをAPI内でパッケージ化しており、また全てのソフトウェアスタックは公開されているため、複雑な根幹技術に関する知識は必要ありません。オペレーションのためのソースコードは公開されており、将来的にいくつかソフトウェアコンポーネントの削除が必要となった場合でも、企業システムのスケーラビリティを高める事が可能です。』
デジタルアイデンティティ(Digital ID)に関しては、オンライン・ツー・オフライン(O2Oサービス)における本人認証のために、台北市がデジタル市民カードを開発する予定です。このDigital IDは、様々なサービスにアクセスする際の新たな可能性を提示し、サービスや支払いの際の本人認証がよりフレキシブルに行えるようになります。これを応用する事で、認証・サービス・支払い・API証明書の発行におけるプラットフォーム構築を迅速に行うことが出来ます。将来的には民間と行政との連携が進み、政府が共同開発者として関わっていくと思われます。このDigital IDは、台北市が世界中の最先端サービスに繋がる、重要な一歩であると捉えています。
台湾の個人情報保護法とGDPR関連の規制に従って、BiiLabsはDeloitte & Touche Risk Management Advisory Co.(Deloitte)と協働いたします。具体的には、ブロックチェーンアプリケーションにおけるセキュリティとプライバシー影響評価、特にプライバシーアセスメントに関しての取り組みを進めます。Deloitteは“プライバシー・バイ・デザイン”という概念を取り入れることで、プライバシーにおけるリスクを効率的に管理出来ると考えています。また企業はブロックチェーン技術を導入する際、自社のビジネスモデルに従って、実現可能性・有効性・コンプライアンス・セキュリティーリスクを考慮する必要があり、また適切なリスク管理を行うために、制御機能をシステムとオペレーションプロセスの中に組み込む必要があります。近い将来BiiLabsとDeloitteは共同で、新たな活用事例を対象にビジネスモデルの検証とリスク評価を進めていく予定です。」
—
publicIOTAのMarkusと、BiiLabsの共同設立者兼CEOであるLman Chu氏とのインタビューでは、さらに深いお話を伺うことが出来ました。
publicIOTA:BiiLabsを創設した理由と、現在提携している組織をお聞かせください。
Lman Chu :BiiLabsは、スマートシティ・エネルギー管理・データエコノミーなど、来たるIoE時代における課題を解決するための分散型台帳技術の開発に特化しています。弊社の根幹技術はあらゆる産業のデジタル化をサポートし、顧客が抱える信頼性・セキュリティ・成長性・効率性等に関する問題を解決します。 BiiLabsは、IoE時代における主要なテクノロジープロバイダーを目指しています。また、BiiLabsは2017年11月に設立されました。現在では、IOTA財団、台湾国立成功大学の分散型台帳技術研究所、South Star Xecelerator (SSX)、Aaeon、NextDrive、TransIoT、Deloitteと提携しています。
publicIOTA:今回発表されたデジタルアイデンティティシステムの他に、どのようなプロジェクトに携わっていらっしゃいますか?
Lman Chu :BiiLabsは、あらゆる業界におけるPOE用のAPIを提供しています。例えば環境モニタリングを例に挙げると、BiiLabs Sentinel Applianceと呼ばれるモニター装置で動作する水質モニタリングアプリケーションは、BiiLabsが開発したAPI上で動いています。この機器は世界で初めてAaeonに採用されました。
publicIOTA:では前述のデジタルアイデンティティプロジェクトに関して、次のステップとして何を見据えていらっしゃいますか?
Lman Chu :BiiLabsは台湾政府の台北市、Peace Innovation Foundation、IOTA財団と協働しており、TangleIDを用いてオープンソースコードを開発しています。 2018年11月下旬のプロジェクトミーティング後に、次のステップに移る予定です。
publicIOTA:IOTAとはどのように協働しているのですか?
Lman Chu :BiiLabsチームは、IOTAエコシステムのメンバーとして中核を担っています。 私たちはオープンソースというモデルを通して、国境を超えた協働、寄付を行い、より良い世界を創ることが出来ると信じています。BiiLabsはアジア圏のプロジェクトを中心に、引き続きIOTAをサポートしていきます。
publicIOTA:IOTA Qubic Smart Contractsに関して、将来の活用事例をイメージして、その利点を教えてください。
Lman Chu :Qubicはかなり大きな目標を持っています。 私はQubicによって、将来訪れるIoE・IoTの世界がより便利になると思っています。 そして現在BiiLabsは、Tangle上でEVM(Ethereum Virtual Machine)を動作可能にする独自のソリューションを開発しています。 私たちは来たるべき未来から逆算し、様々な業界の業務プロセスや業務フロー、そしてデバイスの中に分散型台帳技術を組み込めるようにサポートしています。それらのデータを確実に保存し、スマートコントラクトに改良することでビジネスに変革を起こします。これらを実際に実現するために、IOTAとQubicの重要性が高まると思っています。
publicIOTA:インタビューをお受けいただきありがとうございました。
publicIOTAはこのプロジェクトを引き続き支援し、BiiLabsとの連携を強化していく予定です。
以上、publicIOTA記事から引用(http://publiciota.com/biilabs-id-system-based-on-iota-supports-taipei-on-the-way-to-smart-city)。
###
BiiLabsについて(https://biilabs.io)
BiiLabsはIoEの時代の到来を見据え、スマートシティ・エネルギー管理・マルチアカウント管理システム等における課題に対し、分散型台帳技術を開発しています。私たちの根幹技術は、あらゆる産業のデジタル化をサポートし、顧客が抱える信頼性・セキュリティ・成長性・効率性に関する課題を解決します。BiiLabsは来たるIoE時代を、分散型台帳技術で牽引していきます。
Source: プレスリリース新着